
作り焼き菓子を売るために必要な許可とは|菓子製造業許可の取り方を順番に解説
「手作りのお菓子を売ってみたい」と思ったとき、最初にぶつかるのが許可の壁です。自宅のキッチンで丁寧に作ったクッキーやケーキも、無許可で販売すると法律違反になります。でも、正しい手順を踏めば個人でも販売できます。必要なのは知識と、許可の取れる場所だけです。この記事では菓子製造業許可の取り方を順番に解説します。
この記事を読んで欲しい人
- 手作りのお菓子をminneやメルカリで販売したいと考えている方
- 自宅キッチンでは許可が取れないと知って、次の一手を探している方
- 菓子製造業許可の取り方を、はじめて調べている方

そもそも自宅で作ったお菓子は売れないのか
結論から言うと、自宅のキッチンで作ったお菓子をそのまま販売することはできません。食品衛生法という法律によって、お菓子を販売するには営業許可の取得が義務付けられているからです。
「少量だから大丈夫」「友人に売るだけだから問題ない」と思っている方もいるかもしれませんが、金銭のやり取りが発生する時点で販売とみなされます。minneやメルカリShopsへの出品も同様です。
無許可販売はどうなるのか
食品衛生法に違反した場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。「知らなかった」は通用しません。
また近年、ハンドメイドアプリやSNSでの手作り食品販売が広がったことで、保健所のチェックも以前より厳しくなっています。善意で始めた副業が、思わぬトラブルに発展するリスクがあることは知っておくべきです。
自宅キッチンで許可が取れない理由
では許可を取ればいいのでは、と思うかもしれません。しかし多くの場合、自宅のキッチンでは菓子製造業の許可が取得できません。
理由は施設基準にあります。菓子製造業の許可を取るには、保健所が定める設備の条件をクリアする必要があります。主な条件は以下の通りです。
- 住居スペースと製造スペースが明確に区分されていること
- 専用の手洗い設備があること
- 食品を衛生的に保管できる設備があること
- 壁・床・天井が清掃しやすい素材であること
一般的な家庭のキッチンは、リビングやダイニングと一体になっていることが多く、この「区分」の条件でほとんどの場合引っかかります。設備を一から整えるとなると、リフォームが必要になるケースもあります。
つまり「許可を取りたくても、自宅では取れない」という壁にぶつかる方が大半なのです。だからこそ、許可取得済みのレンタルキッチンを活用するという選択肢が現実的な解決策として注目されています。
この項のまとめ
- 自宅で作ったお菓子を販売するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要
- 少量販売やSNS・アプリでの出品も、金銭のやり取りがある時点で許可が必要
- 無許可販売は2年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象
- 自宅キッチンは住居との区分や設備基準を満たせないため、許可取得が難しいケースがほとんど
- 許可取得済みのレンタルキッチンを借りることが、現実的な解決策

菓子製造業許可でできること・できないこと
お菓子を販売するための許可にはいくつか種類があります。その中でも個人が副業として焼き菓子を販売する場合に必要になるのが、菓子製造業許可です。まずこの許可で何ができて、何ができないのかを整理しておきましょう。
菓子製造業許可でできること
菓子製造業許可を取得すると、以下の販売活動が可能になります。
- minneやメルカリShopsなどのハンドメイドアプリでの販売
- 自社ECサイトやSNSを通じたネット販売
- マルシェやポップアップイベントへの出店
- 知人・友人への直接販売
クッキー、焼き菓子、ケーキ、パン、アイシングクッキーなど、火を通した製造済みのお菓子が対象です。手土産やギフトとしての需要が高い商品を、正式に販売できるようになります。
菓子製造業許可ではできないこと
一方で、菓子製造業許可だけではできないことも把握しておく必要があります。
- 生クリームを使ったケーキなど、要冷蔵の生菓子の販売(別途許可が必要な場合があります)
- カフェのようにその場で飲食を提供すること(飲食店営業許可が必要です)
- ジャムや佃煮などの製造(食品の種類によって許可の区分が異なります)
飲食店営業許可との違い
混同されやすいのが飲食店営業許可との違いです。飲食店営業許可は、お客さんにその場で食べてもらう飲食店やカフェを開く際に必要なものです。
一方、菓子製造業許可は製造した商品を持ち帰り用として販売するためのものです。マルシェやネット販売を中心に考えている場合は、菓子製造業許可が該当します。ただし販売スタイルによっては両方の許可が必要になるケースもあるため、不明な点は事前に保健所に確認することをおすすめします。
この項のまとめ
- 菓子製造業許可を取得すると、ネット販売・マルシェ・ポップアップイベントへの出店が可能
- クッキーや焼き菓子・パンなど、火を通した製造済みのお菓子が販売対象
- 要冷蔵の生菓子やその場での飲食提供は、菓子製造業許可の範囲外
- カフェのように店頭で提供する場合は、別途飲食店営業許可が必要
- 販売スタイルによって必要な許可が異なるため、事前に保健所へ確認することが重要

取得に必要な2つの条件
菓子製造業許可を取得するには、大きく2つの条件をクリアする必要があります。「人」に関する条件と、「場所・設備」に関する条件です。申請前にこの2つを整理しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
条件① 食品衛生責任者の資格を取得する
菓子製造業許可を取得するには、施設ごとに食品衛生責任者を1名置くことが義務付けられています。食品衛生責任者とは、施設内での衛生管理を担う責任者のことです。
取得方法は主に2つあります。
- 各都道府県の食品衛生協会が主催する養成講習会を受講する(1日・6時間程度、受講料は約1万円)
- 栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格保有者は講習会が免除されます
講習会は定期的に開催されており、予約さえできれば比較的短期間で取得できます。まだ資格を持っていない方は、許可申請と並行して早めに受講の予約を入れておくことをおすすめします。
条件② 施設基準を満たす場所で製造する
もうひとつの条件が、製造場所の設備基準です。保健所が定める施設基準には、共通基準と特定基準の2種類があります。
共通基準(すべての食品営業に共通して求められる基準)
- 住居スペースと製造スペースが明確に区画されていること
- 専用の手洗い設備が設置されていること
- 食品・器具・容器の保管設備が衛生的に整っていること
- 壁・床・天井が清掃しやすい構造であること
- 十分な換気・採光・照明が確保されていること
特定基準(菓子製造業に固有の基準)
- 製造専用の器具や容器が衛生的に保管できること
- 包装に必要な設備が整っていること
この2つの基準を同時に満たす必要があります。一般的な家庭のキッチンでは共通基準の「区画」の条件でつまずくことが多く、設備を整えるためのリフォームが現実的でない場合がほとんどです。菓子製造業許可をすでに取得済みのレンタルキッチンを利用すれば、この施設基準の問題をまるごと解決できます。
この項のまとめ
- 菓子製造業許可の取得には「食品衛生責任者の資格」と「施設基準を満たす場所」の2つの条件が必要
- 食品衛生責任者は1日の講習会(約1万円)で取得でき、調理師・栄養士などの資格保有者は免除
- 施設基準には全業種共通の「共通基準」と菓子製造業固有の「特定基準」の2種類
- 自宅キッチンは住居スペースとの区画要件でつまずくケースがほとんど
- 許可取得済みのレンタルキッチンを利用すれば、施設基準の問題をまるごと解決

申請の流れ:保健所への相談から許可証交付まで
菓子製造業許可の申請は、いくつかのステップを順番に進めていく必要があります。全体の流れを把握しておくことで、どのタイミングで何を準備すればいいかが見えてきます。
ステップ1 保健所に事前相談する
最初にやるべきことは、製造場所を管轄する保健所への事前相談です。施設の図面や設備の配置を持参し、基準を満たしているかどうかを事前に確認してもらいます。
この事前相談を省略すると、申請後に設備の不備が発覚して許可が下りないケースがあります。手間に感じるかもしれませんが、必ず最初に相談することをおすすめします。レンタルキッチンを利用する場合は、施設側がすでに許可を取得済みであることが多いため、この確認作業が大幅に省けます。
ステップ2 食品衛生責任者の資格を取得する
保健所への相談と並行して、食品衛生責任者の講習会を受講します。申請書類に資格取得証明書が必要になるため、講習会の予約は早めに入れておきましょう。
ステップ3 申請書類を準備して提出する
保健所に提出する主な書類は以下の通りです。
- 営業許可申請書
- 施設の平面図
- 食品衛生責任者の資格証明書
- 水質検査成績書(井戸水を使用する場合)
書類の様式は管轄の保健所またはホームページから入手できます。記入方法がわからない場合は、保健所の窓口で確認しながら進めると安心です。
ステップ4 施設検査を受ける
書類提出後、保健所の担当者が施設に訪問して設備の検査を行います。事前相談の内容通りに設備が整っていれば、この検査は比較的スムーズに通過できます。
ステップ5 許可証の交付・営業開始
施設検査に問題がなければ、許可証が交付されます。交付までの期間は保健所によって異なりますが、概ね申請から2週間〜1ヶ月程度が目安です。許可証を受け取ったら、いよいよ販売活動を開始できます。
なお申請手数料は都道府県によって異なりますが、愛知県の場合は16,000円前後が目安です。
この項のまとめ
- 菓子製造業許可の申請は「事前相談→資格取得→書類提出→施設検査→許可証交付」の5ステップ
- 最初の保健所への事前相談を省略すると、申請後に設備不備が発覚するリスクがある
- 申請書類には営業許可申請書・施設の平面図・食品衛生責任者の資格証明書などが必要
- 許可証の交付までは申請から概ね2週間〜1ヶ月程度かかる
- 愛知県の申請手数料は16,000円前後が目安で、都道府県によって異なります

自宅で許可が取れない人の現実的な解決策
ここまで読んで、「施設基準のハードルが高くて自宅では無理だ」と感じた方も多いのではないでしょうか。実際、自宅キッチンで菓子製造業許可を取得しようとして、設備基準の壁に阻まれて諦めてしまう方は少なくありません。
しかしだからといって、お菓子の販売を諦める必要はありません。現実的な解決策があります。それが、菓子製造業許可を取得済みのレンタルキッチンを借りるという方法です。
レンタルキッチンを使うメリット
許可取得済みのレンタルキッチンを利用する最大のメリットは、施設基準の問題をまるごと解決できることです。すでに保健所の検査をクリアした設備が整っているため、自分で設備を一から揃える必要がありません。
具体的なメリットを整理すると以下の通りです。
- 施設基準をクリアした設備がすでに整っている
- 業務用オーブンやスチームコンベクションなど、自宅では用意できない本格的な設備が使える
- 初期費用をかけずに製造場所を確保できる
- 必要な時間だけ借りられるため、固定費を抑えられる
- 住居と製造場所を分けることで、プライバシーも守られる
許可取得済みのレンタルキッチンを選ぶ際の注意点
ただしレンタルキッチンであれば何でもよいわけではありません。利用前に必ず確認しておきたいポイントがあります。
- 菓子製造業の営業許可を取得済みであること
- 利用者が自分の名義で販売活動を行えること
- 保健所への届け出が必要かどうか
特に重要なのが1点目です。レンタルキッチンの中には飲食店営業許可のみを取得しており、菓子製造業許可を持っていない施設もあります。契約前に必ず確認するようにしましょう。
手作りお菓子の販売を始めたいと思ったとき、自宅の設備に悩む必要はありません。許可取得済みのレンタルキッチンという選択肢を知っているだけで、副業への第一歩がぐっと近づきます。
この項のまとめ
- 自宅キッチンで菓子製造業許可が取得できない場合、許可取得済みのレンタルキッチンを借りることが現実的
- レンタルキッチンを利用すれば、施設基準の問題をクリアした設備をそのまま使える
- 業務用オーブンやスチームコンベクションなど、自宅では用意できない本格的な設備が初期費用なしで使える
- レンタルキッチンを選ぶ際は、菓子製造業の営業許可を取得済みかどうかを必ず確認しよう
- 飲食店営業許可のみで菓子製造業許可を持たない施設もあるため、契約前の確認が重要

許可取得後に確認しておくこと
菓子製造業許可を取得したら、いよいよ販売活動のスタートです。しかし許可を取って終わりではありません。継続して販売活動を行うために、取得後に確認しておくべきことがいくつかあります。
許可証の有効期限と更新手続き
菓子製造業許可には有効期限があります。有効期限は都道府県によって異なりますが、多くの場合5〜8年程度です。期限が切れると販売活動を継続できなくなるため、更新手続きを忘れずに行いましょう。
更新手続きは有効期限の満了日の約2ヶ月前から受け付けている保健所が多いです。許可証を受け取ったら有効期限を確認し、カレンダーやスマートフォンにリマインダーを設定しておくことをおすすめします。
食品表示のルールを把握する
販売する商品には、食品表示法に基づいた表示が義務付けられています。表示が不十分だとクレームやトラブルにつながるため、正しいルールを把握しておくことが重要です。
焼き菓子の販売で必要な主な表示項目は以下の通りです。
- 商品名
- 原材料名(アレルゲンを含む)
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 製造者の氏名・住所
特に注意が必要なのがアレルゲンの表示です。小麦・卵・乳製品など、特定原材料8品目については必ず表示する義務があります。表示漏れは法律違反になるため、販売前に必ず確認するようにしましょう。
衛生管理を継続する
許可取得後も、日常的な衛生管理を継続することが求められます。製造時の手洗い・器具の洗浄・製造環境の清潔保持など、基本的な衛生管理を徹底することが、お客さんからの信頼につながります。
許可を取得することはゴールではなく、安全においしいお菓子を届け続けるためのスタートラインです。正しい知識を持って、長く続けられる販売活動を築いていきましょう。
この項のまとめ
- 菓子製造業許可には有効期限があり、多くの場合5〜8年程度で更新手続きが必要
- 更新手続きは有効期限の約2ヶ月前から受け付けている保健所が多いため、期限の管理を忘れずに
- 販売する商品には食品表示法に基づき、商品名・原材料名・賞味期限・製造者情報などの表示が義務付けらる
- 小麦・卵・乳製品など特定原材料8品目のアレルゲン表示は法律で定められた義務
- 許可取得はゴールではなく、衛生管理を継続しながら長く販売活動を続けることが大切
菓子製造業許可のこと、もっと詳しく知りたい方は、気軽にご相談ください。「自宅では無理だとわかったけど、次をどうすればいいかわからない」という方も大歓迎です。実際にレンタルキッチンを見学することもできます。まずは話だけでも構いません。

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編集後記
「許可が必要だと知らなかった」という声を、よく耳にします。知らないまま販売してしまう前に気づけたなら、それだけで大きな一歩です。最初は手続きの多さに気が遠くなるかもしれません。でも順番に進めれば、必ず許可は取れます。あなたの手で作ったお菓子を、堂々と売れる日は思ったより近いはずです。