製菓・製パンの衛星面をcheck

焼き菓子・パンを販売するための衛生基準チェックリスト|許可取得後にやるべきことを解説

菓子製造業許可を取得したら、いよいよ販売活動のスタートです。しかし許可を取るだけでは不十分で、日々の衛生管理が販売活動の信頼を支えます。食中毒ひとつでせっかく築いた副業が台無しになることも。この記事では焼き菓子・パンを安全に販売し続けるために必要な衛生管理のポイントをチェックリスト形式でまとめました。

この記事を読んで欲しい人

  • 菓子製造業許可を取得したばかりで、日々の衛生管理に何をすべきか迷っている方
  • 焼き菓子やパンをminneやマルシェで販売しているが、衛生管理に自信が持てない方
  • HACCPという言葉は聞いたことがあるが、個人の副業でどこまで対応すべきか知りたい方
衛生管理について解説

販売前に知っておくべき衛生管理の基本

焼き菓子やパンを販売するうえで、衛生管理は「やれたらいい」ではなく「やらなければならない」ことです。食品を扱う以上、お客さんの健康を守る責任が販売者にはあります。許可を取得した時点で、その責任を負ったと理解しておくことが大切です。

衛生管理が必要な理由

手作りのお菓子やパンは、製造から消費者の手に渡るまでの間に食中毒のリスクがあります。特に注意が必要なのが以下の3つです。

細菌による汚染 黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌などは、手指や製造環境から食品に移ることがあります。特に気温と湿度が高い時期は細菌が繁殖しやすく、製造時の手洗いや器具の洗浄が重要になります。

交差汚染 生の食材や異なる食品が触れることで、細菌やアレルゲンが意図せず混入することを交差汚染といいます。器具や作業台を共用する際は、使用前後の洗浄・消毒を徹底する必要があります。

アレルゲンの混入 小麦・卵・乳製品などのアレルゲンが意図せず混入すると、アレルギーを持つお客さんに深刻な健康被害を与える可能性があります。製造工程での管理と正確な表示が不可欠です。

個人販売者に求められる衛生管理のレベル

「個人の副業だから、大手メーカーほど厳しくしなくていい」と思う方もいるかもしれません。しかし食品衛生法の観点では、販売規模にかかわらず同じ基準が求められます。

2021年の食品衛生法改正により、食品を販売するすべての事業者にHACCPの考え方に基づいた衛生管理が義務付けられました。HACCPとは食中毒などのリスクを事前に把握し、重要な工程を継続的に管理する手法です。

ただし個人や小規模事業者の場合は、大企業のような厳格な文書管理は求められません。「何に気をつけて製造しているか」を自分なりに整理して記録しておく程度で対応できます。まずは基本的な衛生習慣を身につけることから始めましょう。


・焼き菓子・パンの販売者には、規模にかかわらず食品衛生法に基づく衛生管理の責任があります ・製造時に注意すべきリスクは細菌による汚染・交差汚染・アレルゲンの混入の3つです ・2021年の食品衛生法改正により、すべての食品販売者にHACCPの考え方に基づく衛生管理が義務付けられました ・個人・小規模事業者の場合、大企業のような厳格な文書管理は不要で、自分なりの衛生管理を記録する程度で対応できます ・許可取得はスタートラインであり、日々の衛生管理の継続がお客さんの信頼を築きます

Point of View
HACCPとは?

HACCPに基づく衛生管理計画の立て方

HACCPという言葉を聞いて、「大企業や食品工場がやるもの」というイメージを持つ方は多いと思います。しかし2021年の食品衛生法改正以降、個人で食品を販売する場合も、HACCPの考え方に基づいた衛生管理が求められています。難しく考える必要はありません。要するに「どこで何に気をつけるかを決めて、実行する」ということです。

小規模事業者向けのHACCP対応とは

個人や小規模事業者の場合、HACCPの簡略版として「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」への対応が求められています。具体的には以下の3つを行うことが基本です。

① 製造工程のリスクを把握する 材料の受け取りから製造・包装・販売までの工程を書き出し、どの工程で食中毒やアレルゲン混入のリスクがあるかを確認します。

② 重要な管理ポイントを決める リスクが高い工程に対して、何をどのように管理するかを決めます。たとえば「焼き上がりの中心温度を確認する」「製造前後に手洗いを徹底する」などです。

③ 実施したことを記録する 管理ポイントを実行したら、簡単なメモや記録表に残します。ノートへの手書きでも、スマートフォンのメモアプリでも構いません。

焼き菓子・パン製造の衛生管理計画の例

実際に焼き菓子やパンを製造する場合の衛生管理計画の例を示します。

  • 材料の受け取り時:賞味期限・保存状態の確認
  • 製造前:手洗い・作業台と器具の洗浄・消毒
  • 製造中:アレルゲンを含む材料の取り扱いに注意・交差汚染防止
  • 焼成時:中心温度が十分に上がっているか確認
  • 冷却・包装時:清潔な環境での作業・密封包装の徹底
  • 保管時:直射日光・高温多湿を避けた保管場所の確保

この流れを自分の製造工程に合わせて書き出しておくだけで、HACCPへの基本的な対応は十分です。保健所から指導を受けた際にも、記録があることで対応がスムーズになります。


・HACCPは大企業だけでなく、個人で食品を販売するすべての事業者に義務付けられた衛生管理の考え方です ・個人・小規模事業者はリスクの把握・管理ポイントの設定・記録の3つに取り組むことで対応できます ・製造工程を書き出し、どの工程にリスクがあるかを把握することがHACCP対応の第一歩です ・記録はノートやスマートフォンのメモでも十分で、継続して残しておくことが重要です ・衛生管理計画を持っておくことで、保健所からの指導にもスムーズに対応できます

Point of View
設備とその衛星について

製造環境と設備の衛生チェックポイント

衛生管理計画を立てたら、次は実際の製造環境と設備の衛生状態を整えることが必要です。どれだけ丁寧に製造しても、環境や設備が不衛生では食中毒のリスクをゼロにできません。製造前・製造中・製造後の3つのタイミングに分けてチェックする習慣をつけることが大切です。

製造前のチェックポイント

製造を始める前に必ず確認しておきたい項目です。

作業者自身の衛生管理

  • 手洗いは30秒以上、石けんを使って丁寧に行う
  • 爪は短く切り、マニキュアは使用しない
  • 作業用のエプロン・帽子・マスクを着用する
  • 体調不良(発熱・下痢・嘔吐)の場合は製造しない

作業環境の確認

  • 作業台・調理器具・ボウルなどを洗浄・消毒する
  • 製造スペースに食品以外のものが混入しないよう整理する
  • ペットが製造スペースに入らないよう注意する

製造中のチェックポイント

製造中は特に交差汚染とアレルゲン管理に注意が必要です。

交差汚染の防止

  • 生の卵や乳製品を扱った後は必ず手洗いと器具の洗浄を行う
  • アレルゲンを含む材料を扱う際は、専用の器具を使用する
  • 異なる種類のお菓子やパンを同時に製造する場合は、作業スペースを明確に分ける

温度管理

  • バターや卵など、常温放置が危険な材料は使用直前まで冷蔵保管する
  • 焼成時は中心温度が十分に上がっているか確認する
  • 焼き上がった製品は清潔な場所で速やかに冷却する

製造後のチェックポイント

製造が終わったら、次回の製造に備えて環境を整えます。

  • 作業台・器具・ボウルをすぐに洗浄・乾燥させる
  • シンクや排水口の汚れを取り除く
  • 使用した材料の残量と賞味期限を確認し、適切に保管する
  • ゴミはその日のうちに処分する

レンタルキッチンを利用する場合は、退室前に設備を元の状態に戻すことが利用ルールとして定められていることが多いです。次の利用者のためにも、製造後の清掃を徹底する習慣をつけておきましょう。


・製造前・製造中・製造後の3つのタイミングに分けて衛生チェックを行う習慣をつけることが重要です ・製造前は作業者自身の体調管理と手洗い、作業台・器具の洗浄・消毒を必ず行いましょう ・製造中は交差汚染の防止とアレルゲン管理に特に注意が必要です ・焼成時の温度管理と焼き上がり後の速やかな冷却が食中毒リスクを下げる重要なポイントです ・レンタルキッチン利用後は設備を元の状態に戻し、次の利用者のためにも清掃を徹底しましょう

Point of View
食品表示について解説

食品表示ラベルの正しい書き方と注意点

菓子製造業許可を取得して衛生管理を整えたら、次に必ず対応しなければならないのが食品表示ラベルです。手作りのお菓子やパンであっても、販売する場合は食品表示法に基づいた正確な表示が義務付けられています。表示の不備はクレームやトラブルの原因になるだけでなく、法律違反にもなりかねません。正しい知識を持って対応しましょう。

食品表示ラベルに必要な項目

焼き菓子・パンを販売する際に表示が必要な項目は以下の通りです。

① 商品名 商品の内容を表す名称を記載します。「クッキー」「食パン」「マフィン」など、一般的にわかりやすい名称を使用します。

② 原材料名 使用した材料をすべて記載します。使用量の多い順に並べることが原則です。添加物がある場合は原材料と区別して記載する必要があります。

③ アレルゲン表示 特定原材料8品目(小麦・卵・乳・えび・かに・そば・落花生・くるみ)は必ず表示が必要です。特定原材料に準ずる20品目についても、可能な限り表示することが推奨されています。焼き菓子やパンは小麦・卵・乳製品を使うことが多いため、特に注意が必要です。

④ 内容量 グラム数や個数など、内容量を正確に記載します。

⑤ 賞味期限または消費期限 品質が保たれる期限を記載します。焼き菓子の多くは賞味期限、生クリームを使った製品などは消費期限の表示が適切です。

⑥ 保存方法 「直射日光・高温多湿を避けて保存してください」など、適切な保存方法を記載します。

⑦ 製造者の氏名・住所 販売者の氏名と住所を記載します。レンタルキッチンを製造場所として使用している場合は、製造所の住所としてレンタルキッチンの住所を記載するケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

表示ラベル作成の実務的なポイント

表示ラベルはワードやエクセルなどで自作することも可能です。市販のラベルシールに印刷して貼付する方法が一般的です。

注意したいのはフォントサイズです。食品表示法では原則として8ポイント以上の文字サイズが求められています。小さすぎて読めないラベルはトラブルのもとになります。

またminneやメルカリShopsなどのオンライン販売の場合も、商品ページへの表示や同梱するラベルへの記載が必要です。オンラインだから省略できるという認識は誤りです。


・焼き菓子・パンを販売する際は食品表示法に基づき、商品名・原材料名・アレルゲン・内容量・期限・保存方法・製造者情報の表示が必要です ・特定原材料8品目(小麦・卵・乳・えび・かに・そば・落花生・くるみ)のアレルゲン表示は法律で定められた義務です ・原材料名は使用量の多い順に記載し、添加物は原材料と区別して表示する必要があります ・表示ラベルの文字サイズは原則8ポイント以上が求められます ・オンライン販売でも食品表示の義務は同様に適用されるため、商品ページや同梱ラベルへの記載が必要です

Point of View
作ったあとの管理も重要

販売時に気をつけるべき包装・配送・保存のルール

衛生管理と食品表示が整ったら、最後に確認しておきたいのが包装・配送・保存のルールです。どれだけ丁寧に製造し、正確なラベルを貼っても、お客さんの手に渡るまでの過程で品質が損なわれてしまっては意味がありません。販売方法に合わせた適切な対応を知っておきましょう。

包装のチェックポイント

包装は製品を外部の汚染から守るための最後の砦です。以下の点を確認しましょう。

密封包装の徹底 焼き菓子・パンは湿気や外部からの菌の侵入を防ぐため、密封できる袋や容器を使用します。OPP袋やチャック付きの食品用袋が一般的です。見た目の美しさだけでなく、衛生面での機能を優先して選びましょう。

包装時の衛生管理 包装作業は製造直後ではなく、製品が十分に冷却されてから行います。熱いまま密封すると内部に結露が生じ、カビや細菌の繁殖につながります。包装時も使い捨て手袋を着用し、素手で製品に触れないようにしましょう。

異物混入の防止 包装前に製品の外観を確認し、異物の混入がないかチェックします。髪の毛・ほこり・包装材の破片などが混入しないよう、製造環境の整理整頓を徹底します。

配送のチェックポイント

オンライン販売やギフト配送を行う場合は、配送中の品質維持にも注意が必要です。

配送方法の選択 焼き菓子や常温保存可能なパンは常温配送が基本です。ただし気温が高い時期は保冷剤を同梱するなど、季節に合わせた対応が必要です。生クリームを使った製品やサンドイッチなど要冷蔵の商品は、クール便を使用します。

梱包の強度 配送中の衝撃で製品が崩れないよう、緩衝材を使って丁寧に梱包します。見た目が崩れた状態で届くとクレームにつながるため、梱包の強度には十分注意しましょう。

配送日数の管理 賞味期限・消費期限と配送日数を考慮して、お客さんの手元に届いた時点で十分な期限が残るよう設定します。製造から発送までの日数を短くすることが基本です。

保存のチェックポイント

製造した製品を販売前に保管する場合は、以下の点に注意します。

  • 直射日光・高温多湿を避けた場所で保管する
  • 保管中も賞味期限・消費期限を管理し、期限切れの製品を販売しない
  • 製造日・品名・保管条件を記載したラベルを貼り、在庫管理を徹底する

・包装は密封できる食品用袋や容器を使用し、湿気や外部からの菌の侵入を防ぐことが基本です ・包装は製品が十分に冷却されてから行い、熱いまま密封するとカビや細菌繁殖の原因になります ・気温が高い時期の配送には保冷剤の同梱を検討し、要冷蔵製品は必ずクール便を使用しましょう ・配送日数と賞味期限・消費期限を考慮し、お客さんの手元に届いた時点で十分な期限が残るよう管理します ・保管中も製造日・品名・保管条件を記録し、期限切れ製品の販売が起きないよう在庫管理を徹底しましょう

Point of View

衛生管理や食品表示のことで不安な点があれば、LINEでお気軽にご相談ください。菓子製造業許可を取得済みのレンタルキッチンで、安心して製造をスタートできる環境をご用意しています。まずは見学だけでも歓迎です。

起業・副業の相談はJIN-TANO

まずは小さく初めてみよう。 頭の中だけで考えていても始まりません。話をしてみて、行動してみて、多くの気付きが有ります。 まずは、気軽にお問い合わせください。

編集後記

衛生管理と聞くと、難しそうで身構えてしまう方も多いと思います。でも実際に取り組んでみると、ひとつひとつはそれほど複雑ではありません。このスペースでも、最初は不安そうだった方が製造を重ねるうちに自信をつけていく姿を何度も見てきました。大切なのは完璧を目指すことより、続けることです。あなたの手で作ったものを、安心して届けてください。

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